バルブにはバタフライ弁以外にもさまざまな種類があります。ここでは、「ゲートバルブ」「グローブバルブ」「ボールバルブ」「チャッキバルブ」のそれぞれの特徴や、バタフライ弁との違いについて解説します。
ゲート弁・仕切弁とも呼ばれており、弁体が板状になっています。弁体を完全に開放したとき、流路から弁自体がなくなります。そのため、圧力損失が少ないという点がゲートバルブの大きなメリット。
全開・全閉といった明確な動作に適していますが、中間開度での使用には向いておらず、流量調整ができません。中間開度で使用した場合は、弁体が振動してしまいトラブルの原因となります。
板状の弁体をもつゲートバルブに対して、バタフライ弁の弁体は円盤状になっています。また、弁軸の運動方向はゲートバルブが上下運動であるのに対し、バタフライ弁は回転運動。圧力損失が少ないという点はどちらも同じですが、流量調整が可能であるのはバタフライ弁。また、ゲートバルブのサイズが大きく重いという特徴に対し、バタフライ弁はコンパクトかつ軽量です。
外観が丸みを帯びていることから、球体を表すグローブの名がついています。グローブ弁・玉型弁・ニードル弁・アングル弁などと呼ばれることも。流量調節がしやすいというメリットをもっているものの、S字型の流路により圧力損失は大きいのがデメリット。
グローブバルブはバタフライ弁と同様に流量調整に適しています。ただしバタフライ弁の圧力損失が少ないのに対し、グローブバルブの圧力損失は大きいことが異なります。また、コンパクトかつ軽量なバタフライ弁に対し、グローブバルブはサイズが大きく重い点も異なります。
ボール弁とも呼ばれており、孔(あな)の貫通したボール状の弁体が回転します。急な開け閉めが可能であり、全開・全閉といった明確な動作に適しています。
また、全開時は配管方向に対して流路が直線となり圧力損失を最小に抑えられるものの、細かなコントロールには苦手。流量調整には適していません。
弁軸の運動方向はボールバルブ・バタフライ弁ともに回転運動です。また、圧力損失が少ない点でも同様ですが、流量調整の点ではボールバルブは不向き。さらにバタフライ弁がコンパクトかつ軽量であるのに対し、ボールバルブはサイズが大きく重いのも特徴です。
ニードルバルブは、その名の通りに弁体が針状になっているのが特徴です。弁体が針状なことから弁を全開にしても流量が少なく、精密な流量調節が可能。流量調節に特化した構造をしているため、主に流体やガスの流量調節弁として使用されるバルブです。
一方で、流体やガスの完全遮断には向いておらず、遮断が必要な箇所ではアシストとしてグローブバルブやボールバルブの設置が求められます。
バタフライ弁が円盤状の弁軸を回転させて流路を止めるのに対し、ニードルバルブは針状の弁体を上下に差し込んで流量を調節する構造になっています。どちらも流量調整に優れている点は同じですが、圧力損失の大きさに違いあり。バタフライ弁はバルブ全開時の抵抗が小さいので流体が流れやすいですが、ニードルバルブは圧力損失が非常に大きく、バルブを全開にしても流路が徐々にしか変化しません。
弁にフッ素樹脂やゴムなど弾性体の柔らかい素材でできたダイヤフラム(隔膜)がついており、弁を上下にスライドすることで流路の開け閉めを行なうバルブです。駆動部と流路がダイヤフラムによって完全に隔離されているため、駆動部の隙間に流体が入り込んだり、駆動部の潤滑油などの不純物が流体に混ざったりする心配がありません。
駆動部から流体が漏れることがないので、デリケートな流体を扱うときによく使用されます。ただ、ダイヤフラムの材質によって扱える流体の温度や圧力に制限があることから、ダイヤフラムの材質を選定する際は注意が必要です。また、高圧での使用には向いていません。
バタフライ弁は流体制御・流量調整のどちらも可能と汎用性に優れていますが、ダイヤフラムバルブは主に流体制御として使用されます。また、流路が流線形のウェア形ダイヤフラムバルブの場合、流路が狭いので高粘度やスラリー状の流体には不向きといった特徴もあり。ダイヤフラムバルブのメリットとしてはグランド部がないため、外部への漏れや外気による流体の汚染が発生する心配はありません。バタフライ弁と比べて衛生度が高いことから、製薬業界で広く採用されています。
逆止弁・逆流防止弁・チェックバルブなどとも呼ばれています。弁体は流体の圧力によって押し開かれ、逆流時には背圧によって自然に閉鎖します。
チャッキバルブは水などの流体の逆流を防止する目的で使用されており、構造によって種類が分かれます。代表的なチャッキバルブとしては「スイングチャッキバルブ」「リフトチャッキバルブ」「ウエハチャッキバルブ」があります。
チャッキバルブの種類によって特徴に違いがあります。たとえばスイングチャッキバルブは圧力損失が少なく流体が流れやすい製品。
リフトチャッキバルブはS字状またはクランク状の流路であることから抵抗が大きく、口径の小さい配管に適しています。ウエハチャッキバルブは薄型・軽量を実現していながら優れた封止性を持っており、同じ逆止弁でもかなり特徴が異なっているようです。
バタフライ弁をはじめゲートバルブやボールバルブは逆流・正流を止めることができますが、チャッキバルブは逆流を防止するのみ。正流を止めることはできません。そのため、チャッキバルブは逆流のみ防止したい場合に用います。
オーケーエム
クボタ
KITZ(キッツ)
※2022年1月に「バタフライ弁」「バタフライバルブ」「バタ弁」で検索し、該当した上位30社を調査した際の情報を基にしております。「オーケーエム」は創業年数と専門性、「KITZ」は取り扱うバルブの種類、「クボタ」は水道用バタフライ弁の取り扱い数がそれぞれ最も長い・多いため選出しました。