仕組み・構造

ここではバタフライ弁の構造や仕組み、メリットについて紹介します。バタフライ弁の基礎を知りたい方はご参照ください。

バタフライ弁の構造

短円筒型の弁当の中で円盤状のディスク(弁体)が回転して流れを抑える構造です。他のバルブとは違い、穴が開いていないのが特徴です。ステム中心線とディスク外周のシールが一緒になっている「センターディスク形」とステム中心線がシーリング中心線や配管の中心線から外れている「二重偏心形」の二種類に分けられます。また、一般的な弁に比べてパーツの材料が少ないので、軽量でコンパクト、低コストかつ短納期で作れます。

センターディスク

弁棒の中心線と弁体外周のシール面が同一面上の構造になっています。基本的な構造としては弾性のあるゴムや樹脂製のライナーを本体内側に入れ、弁体と弁棒で強制的に密閉します。偏心型と比較してシンプルな構造になっており、耐食性をアップさせたバタフライ弁も登場しています。

二重偏心

回転軸である弁棒の中心が弁体の中心線上にないうえ、バルブ本体の中心線からも離れた構造になっています。偏心になっていることでカム作用が働き、バルブ開閉時にはわずかな回転角度でシートリングから離脱します。そのため全閉位置寸前まで弁体とシートリングが接触しません。

シール面の摩耗を防ぐことができるうえ、流体の圧力による影響を受けにくいのがメリットです。さらにセンターディスク形と比較して弁座シール性に優れており、ゴムや樹脂シートのほかメタルシートも選択できます。

なお、バタフライ弁では二重偏心のほかにも三重偏心や四重偏心タイプの製品もあります。

バタフライ弁の材質

本体

バタフライ弁の本体に使われる材質には、以下のようなものがあります。

  • プラスチック
    硬質ポリ塩化ビニル樹脂やポリプロピレン・ポリテトラフルオロエチレン(フッ素樹脂)などが用いられています。耐食性や耐薬品性、耐久性に優れており、高純度な流体の使用にもおすすめ。軽量のため、金属製のバルブと比較して施工性にも優れています。
  • アルミ
    アルミは軽量であることが大きな特徴です。耐食性には優れていますが、強度と耐熱性は劣ります。
  • 銅合
    銅に他の金属や非金属を加えた合金。銅の性質を改善させており、加工しやすく耐食性に優れているのが特徴です。
  • 鋳鉄
    鋳鉄はフェライト・パーライト・炭素などで構成されています。鋳鋼と比較して多くの炭素が含まれており、溶解温度が低くなっているのが特徴。バタフライ弁では本体にダクタイル鋳鉄を採用している製品がありますが、一般的な鋳鉄のもつ「延性がなく脆い」という弱点を克服しています。
  • 鋳鋼
    鋳鉄と似ていますが、鋳鋼は黒鉛を含んでおらず、鋳鉄よりも含有炭素が少ないのが特徴です。また、鋳鉄と比較したときの耐衝撃性において、常温においては鋳鉄よりも優れていますが低温では劣ります。

シート

バタフライ弁のシートに使われる材質には、以下が挙げられます。

  • 合成ゴム(NBR・FKM・EPDM)
    ニトリルゴムやフッ素ゴム、エチレンプロピレンゴムなどが使われており、ニトリルゴムは耐油性、エチレンプロピレンゴムは耐熱性に優れています。また、フッ素ゴムは耐油性・耐熱性ともに優れていますが、耐寒性はやや劣ります。
  • フッ素樹脂
    耐熱性や耐薬品性、耐摩耗性などに優れており、あらゆる分野で使用されている材料です。流体温度や流速条件が厳しい状況では変形してしまうため、性能を強化させているシートもあります。
  • メタルシート
    メタルシートは高温や高圧、超高真空や極低温などの過酷な環境下でも使用できるメリットをもっています。ガスなどの特殊な流体での使用も可能です。

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バタフライ弁の仕組み

レバーを回して中のディスクが90度回転することで流体(気体・液体)を流したりせき止めたりします。穴が開いていないので、レバーを回したときにできる隙間によって流量を調整しています。開閉はもちろん、流量調整も可能な幅広く活躍しているバルブです。一般的なバルブは、弁棒が回り弁体を上下させることで開閉するので、バタフライ弁とは構造や動作が異なります。

バタフライ弁の完全密閉型とメタルシート型の違い

バタフライ弁の仕組みには「完全密閉型」と「メタルシート型」があります。
完全密閉型はバルブを閉止した際に少しの漏れも許さず、流体が漏れることはありません。一方メタルシート型は少量の漏れを許容するため、高温での使用やガスなどの特殊流体の流量調整用として用いられます。そのため、流体の種類や特性によって完全密閉型とメタルシート型を選ぶ必要があります。

バタフライ弁の構造上のメリット

面間が短く軽量、操作性が良い

バタフライ弁は、一般的なバルブに比べて面間が短く軽量です。また、ほとんどのバルブは弁棒を回転させて弁体を上下に動かすことで開閉するのに対し、バタフライ弁は弁棒を90度回転させるだけで全開閉が可能なので操作がしやすくなっています。

設置しやすくメンテナンスも容易

バタフライ弁は軽量でコンパクトなため設置しやすいです。そのため、狭くてスペースがない場所や工場・プラントなど配管の多い場所で重宝されます。また、取り付け取り外しが簡単なのでメンテナンスが容易です。

全開時の圧力損失が比較的低い

一般的なバルブに比べ、全開時の圧力損失が低いです。そのため、水や空気のような流体から、薬品などの特殊な液体まで対応できます。また、全開時に圧力損失が大きくなる一般的なバルブはその分口径も大きくなりますが、バタフライ弁は小径から大径まで幅広く適用します。

気密性が高い(流体制御に向いている)

弁体を保護するシートの材料としてEPDM・PTFEを使用しているので、気密性が高いです。そのため、ほとんど漏れることなく流体を制御できるので、配管などに使用されることが増えています。

バタフライ弁がおすすめな工程

配管やバルブが多く狭い場所

バタフライ弁はコンパクトなため、省スペースで設置できるのが大きなメリット。とくに配管が複雑には入り組んでいる・配管やバルブが多く狭い場所などでの設置に適しています。たとえば新たに工事をして改造する場合などはコンパクトなバタフライ弁を採用するのがおすすめです。

圧力損失を小さくしたい場合

流体粘度が高い、配管径が小さいなどの場合にもバタフライ弁の使用が適しています。バタフライ弁は全開時の圧力損失が比較的少ないという特徴もあるため、可能な限り圧力損失を抑えたい場合はバタフライ弁が適しています。

大口径の場合

トルクが小さく、小口径はもちろん大口径サイズでも対応できるのがバタフライ弁の魅力。大口径でも薄いため小型化が可能。大型の排水配管や原油・石油の配管などではバタフライ弁が一般的です。

バタフライ弁の種類による違い

大型

メーカーによっては受注生産品として大型サイズのバタフライ弁も扱っています。なかには河川水を流体とした用途で呼び径3650mmの超大型サイズを納入した事例も報告されており、大型であっても汎用性に優れた点がうかがえます。駆動には油圧シリンダを使用しており、弁体の組付けなどの組立には天井クレーンを用います。

ただし大型バタフライ弁の組立は資格も含め高度な技術が求められるため、技術力の維持や向上が課題となっています。

超低温型

宇宙開発ロケットなどに用いられるバルブで、液体窒素や液体水素、液体酸素といった超低温液体の用途に適したつくりになっています。シールと弁体が低温液体によって冷やされる、内圧が上昇するといった環境でも高いシール性を発揮。多くは構造に二重偏心型などを採用しており、シールの耐久性や気密性の確保につなげています。

また、近年では氷点下の温度に耐えられるように特別に設計された極低温型バタフライ弁も登場。ステンレスや青銅でつくられており、拡張ボンネットを付属させることで極度な温度からバルブを保護することが可能です。

水道用

水道用バタフライ弁は上水や工水、農水などの管路に据え付けられ、流体を遮断するために用いられます。水道弁では仕切弁やバタフライ弁がありますが、バタフライ弁は弁体が軸を中心に90度回転することから、高さが大きくないことが特徴。コンパクトに設置でき、大口径が必要な場合に用いられることが多くなっています。一方仕切弁は開閉動作に高さが必要となるため、埋設深さが深くなることから据付費が高め。300mm以下の小口径が必要な場合に選ばれることが多いようです。

なお、水道用バタフライ弁では金属弁座とゴム弁座の種類があり、ゴム弁座タイプが主流となっています。ただしゴム弁座は異物の噛み込みやゴム老朽化などのデメリットもあることから、異物トラブルのリスクを低減できる金属弁座が選択されることもあります。

電動弁

自動で流量調整を行える電動弁は、冷温水や蒸気などの制御に向いています。そのため、空調設備における配管切替制御や冷却塔、熱交換器周りの制御などで用いられています。

開閉はモーターの働きによって弁を駆動させており、弁容量が大きいバルブでは圧力損失の低減が可能。電動弁は細かな流量調整も行えますが、手動タイプよりも重量があり、価格も高め。モーター故障時には正常なバルブの開閉が行えなくなるリスクもあります。

真空弁

真空弁は、半導体基板やディスプレイなどの製作時の工程隔離や、真空チャンバーの圧力調整などで用いられています。真空と真空や、真空と大気を隔離することができるため、熱やガス・プラズマなどが付加された真空の隔離のほか、真空状態のまま大気と隔離する用途に向いています。

真空弁は真空に耐えられるよう設計する必要があり、高い気密性を確保しているほか、素材も耐真空仕様となっているのが特徴です。なかでも真空バタフライ弁はコンパクトで設置しやすいため、省スペースに設置したい場合にもおすすめです。

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