バタフライ弁のバルブのサイズを決めるのは、「流れやすさ(CV値)」「流量」「圧力」などの要素です。以下に各要素について解説します。
流体の流れやすさを表す固有係数として「Cv値」があります。Cv値では大きいほど圧力損失が少なく、小さいと圧力損失が大きいとされています。
圧力損失とは、配管を流体が通過するときに失うエネルギーのこと。たとえば配管の流路の一部が絞られている場合、絞られた箇所を通過した流体の圧力は低下します。
また、流れ始めと比較すると、流路の終わりに近づくほど圧力は低下していきます。圧力が低下する=エネルギーを失うということであり、流量や流速も減少していくのです。つまりCv値が大きい(圧力損失が少ない)と流体が流れやすく、Cv値が小さい(圧力損失が大きい)と流体は流れにくくなります。
なお、JIS規格におけるCv値は「特定の動作範囲において圧力差が1psiのとき、バルブを流れる15.6℃の清水を流した時の流量をUSガロン/minで表す数値」とされています。
そもそも流量とは、水路に流れる水が1秒間に移動する量(体積)のこと。質量で表す(質量流量)こともありますが、体積で扱う場合が多いようです。
流量は「流積(水路に水が流れる範囲の断面積)×流速」で求められます。そのため、バルブの流量を求めるときはバルブの内径だけではなく水の流れる速さも関係するということです。流量は流体の特性やバルブの材質、形状などでも異なります。
バルブのサイズ選定では、使用圧力も考慮する必要があります。圧力は流体の特性によって異なり、また圧力によって各バルブで使用できる流体温度範囲が限定されます。
自動弁のサイズ選定では、各バルブに示された適応流体を確認する必要があります。たとえば冷水・温水・油、気体、蒸気、科学薬品、海水、スラリーなど、流体のもつ特性によってバルブに適さない場合がありますので注意しましょう。
加えて流体やバルブの特性によって圧力損失も異なるため、自動弁のサイズ選定時は適応流体や圧力損失も考慮しましょう。
バルブのサイズ選定時にサイズ表の読み方がわからなくて困ってしまうケースがまれにあります。バルブのサイズを表す「A呼称」と「B呼称」が混在している場合もあるため、違いをわかっていないとサイズ選びに迷う可能性も。
A呼称はミリメートルを基準にした単位です。一方B呼称はインチを基準としています。「1インチ=25.4mm」であり、B呼称の1インチをA呼称で表した場合は25Aとなります。現場では基本的にB呼称を使用するケースが多いようです。
1インチ以下を表す場合、B呼称では1/8単位で区切って(1インチである25.4mmを8等分する)考え、分子を呼び名として「○○分(ブ)」と呼ぶことが多いようです。
以下に、配管サイズをA呼称とB呼称で表したサイズ表をまとめました。
A呼称(A) | B呼称 | 外径 ※参考:配管用炭素鋼鋼管(SGP) |
---|---|---|
6 | 1/8(1分) | 10.5mm |
8 | 1/4(2分) | 13.8mm |
10 | 3/8(3分) | 17.3mm |
15 | 1/2(4分) | 21.7mm |
20 | 3/4(6分) | 27.2mm |
25 | 1(1インチ) | 34.0mm |
32 | 1 1/4(インチ2分、インチクォータ) | 42.7mm |
40 | 1 1/2(インチ半、インチハーフ) | 48.6mm |
50 | 2(2インチ、フタインチ) | 60.5mm |
65 | 2 1/2(2インチ半、フタインチ半、フタハン) | 76.3mm |
80 | 3(3インチ) | 89.1mm |
90 | 3 1/2(3インチ半) | 101.6mm |
100 | 4(4インチ) | 114.3mm |
参照元:菱光産業株式会社(https://plant-comics.net/2019/12/13/comics03/)
バタフライ弁のサイズ選定時には、Cv値や流量、圧力などを考慮することが大切です。また、流体の性質を踏まえ、配管との相性や口径なども加味したうえで適切なサイズを選びましょう。
さまざまなサイズのバタフライ弁をはじめ、様々なバルブを扱っているおすすめメーカーを紹介しています。バタフライ弁の導入を検討されている方は、下記のページをご確認ください。
オーケーエム
画像引用元:株式会社オーケーエム公式サイト
(https://www.okm-net.jp/)
クボタ
画像引用元:株式会社クボタ公式サイト
(https://www.kubota.co.jp/product/valve/index.html)
KITZ(キッツ)
画像引用元:株式会社キッツ公式サイト
(https://www.kitz.co.jp/)
※2022年1月に「バタフライ弁」「バタフライバルブ」「バタ弁」で検索し、該当した上位30社を調査した際の情報を基にしております。「オーケーエム」は創業年数と専門性、「KITZ」は取り扱うバルブの種類、「クボタ」は水道用バタフライ弁の取り扱い数がそれぞれ最も長い・多いため選出しました。