故障の原因と対策

バタフライ弁は使用中に故障することがありますが、要因としてバルブの使用頻度や経年劣化、流体の種類やバルブの構造などさまざまな要素が関係していると考えられます。

バタフライ弁の故障とその原因

ここではバタフライ弁の故障パターンとその原因を紹介します。

バルブの開閉が不可能

  • 弁座部に異物が詰まっている
  • 動力伝達キーやピンが破損している
  • キャップが破損・摩耗している
  • 歯車や軸受けなどの操作機が破損している

バルブの操作トルクが異常に大きい

  • 弁棒軸受けの不良
  • 操作機の潤滑が不足している
  • パッキン押えを締めすぎている
  • 弁体の位置が下がりすぎている
  • グランド部に土砂・塵埃が侵入している

開度計が全閉を示している時に弁座部から水漏れがする

  • ゴム弁座が損傷・劣化している
  • 指針が緩んでいる
  • 凍結や水撃によって弁体が破損している
  • キャビテーションによって弁体エッジが損傷している
  • リーマボルトが破損している
  • 中間軸が捻じれたことで弁体が正しい全閉位置にない

使用時の騒音や振動

  • 中間開度で使用したためキャビテーションが発生している
  • 操作機の潤滑が不足している
  • 組立ボルトナットが緩んでいる

減速機ストッパー部の破損

  • 全開・全閉時に過剰な操作を行っている

本体の割れ・接続部の漏れ

  • 配管フランジ間が狭い状態でバルブを無理に押し込んだ
  • 1次側・2次側配管の芯出しが十分に得られていないまま製品を接続した
  • ボルトが過度に片締めされていて本体に局所的な力がかかっている
  • バルブを分解した

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実際の事故(不備)例

バルブの開閉ができなくなった

弁座部に異物が挟まっているケースでは、異物を除去。減速機が破損しているケースでは破損部品の取り換えを行ったようです。

グランド部から漏水している

グランド部から水が入ることで、Oリングが破損し、グランド部から漏水しました。Oリングの取り換えや清掃を実施。

バルブの操作トルクが異常に大きくなった

弁箱底部に土砂が堆積しているケースでは、少開度での流れを使って堆積した土砂を洗い流します。
また、操作機のグリスが不足しているケースではグリスを補完します。また、バタフライ弁が開閉台式の場合は芯出しが不完全な可能性があるため芯出しをやり直し、裾付けし直します。

開度計は全閉を示しているのに、弁座部から漏水する

異物の噛み込みによってゴム弁座や弁座面が破損している場合は取り替えます。また、開度計の指針の緩みによってバルブの開度と開度計の指示が合っていない場合は、指針を調節し増締めします。

操作を2人で行ったら弁体が落ちてしまった

古い仕切弁を使用しており、作業員1人の力では操作できなかったため2人がかりで操作をしました。力任せな操作の結果弁体が落ちてしまい、開閉できない状態に。事前に配管図などで埋設年度を調べておく、口径φ100以下の仕切弁は1人で開閉をするなどの対応が必要です。

本管切替を焦った結果、水道水に白濁が生じた

本管を切り替えたら水道水に白濁が生じてしまった事例です。空気抜きが不十分であったのが白濁の原因でしたが、根本的な原因は時間的な余裕がなかったことでした。業者の施工日程に合わせた結果、金曜日の17時以降に作業を行うことになってしまったのだそうです。洗管作業には十分な時間をとり、休日前の切り替えはなるべく避けることが大切です。

偏流によるバタフライ弁の開閉不能

配管と配管を90°に曲げて接続するための継手をエルボと呼びますが、エルボの直後に配管設置したゴムシート中心形バタフライ弁のハンドル部分が緩んでしまった事例です。ハンドル部分が緩んだことで開閉操作が不能となりました。

エルボの継手の内側と外側では流速が大きく異なり、偏流が生じて弁体にアンバランスな力が加わります。そして異常な振動が生じることでハンドル操作ができなくなってしまいました。

対策として、エルボの直後にバタフライ弁を設置しないことや、エルボの直後につける場合は偏流アンバランスを防ぐ方向に設置することなどが挙げられます。

材料の腐食・劣化によるシート漏れ

EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)製のゴムシートバタフライ弁シートが膨潤したことにより、バルブの開閉操作ができなくなってしまった事例です。EPDMは耐候性や耐オゾン性に優れているものの耐油性に劣る特徴をもっていますが、EPDM製バタフライ弁を燃料油ラインに誤って設置したため、油脂分によってゴムシートが腐食・劣化してしまいました。

対策として、油脂分のある環境下でのEPDM製バタフライ弁の使用は避け、NBR製バタフライ弁を使用するのがおすすめです。

また、EPDM製は給湯や高塩素水での使用時にもゴム材料が劣化することがあるため、給湯や高塩素水では高塩素対策ゴムを使用すると良いでしょう。

バルブの凍結割れ

バルブの凍結は絶対に避けるべきだとされています。しかし、適切な凍結対策を行っておらず、青銅製バルブが凍結して水漏れする事故がありました。バルブのふたが伸びてねじ部が破損し、ボンネットから水漏れしてしまったようです。

バルブの凍結を防ぐために、保温施工や水抜きなどの対策を行っておくことをおすすめします。凍結というと寒冷地を想像しますが、寒冷地では凍結対策を行っていることが多く、むしろ通常は温暖な地域の方が対策を怠り事故を発生させるケースが多いようです。

異物の付着による開閉不能

温泉水ラインに設置したバタフライ弁に異物が付着し、開閉不能となった事例もあります、バタフライ弁に付着した異物は、流体に含まれるシリカ系の異物でした。異物が付着すると操作トルクが増大し、やがて開閉不能になります。

対策として、定期的にバルブを作動させ、付着物を落とします。また、弁体のめっきなしのステンレス鋼を採用すると防錆力を発揮します。

バルブを押し込んだら割れてしまった

配管フランジ間が狭い状態になっているにもかかわらず、バルブを無理に押し込んでしまうとバルブ本体に割れが発生する可能性があります。これを防ぐには配管取付け作業を行う際、必要に応じてジャッキボルトを設置し、配管フランジ間を調節しましょう。このときの配管フランジ間の間隔は、バルブ面間より6~10mm程度広く取って挿入するようにしてください。

接続部から漏れが生じている

配管フランジ間が狭い状態でバルブを押し込んだ場合、ゴムシートが変形して接続部から漏れが発生する可能性があります。配管取付け作業を行なう際は、配管フランジ間の間隔がバルブ面間より6~7mm程度広くなるように調節してください。

また、ボルトが片締めの状態でも外部漏れが生じる可能性があるため、一度に締めず、対角線上の位置のボルトを交互に均等な力で徐々に締め付けていきます。このときボルトは両フランジがバルブ本体に当たるまで締め付けますが、両フランジがバルブ本体に当たった後もさらに締め付けようとすると本体を損傷させる可能性があるので注意しましょう。また、インパクトレンチは使用しないでください。

そのほかの原因としては、1次側・2次側配管の芯出しが十分でない可能性があります。製品を接続する配管は、管軸が一直線になるように芯出しを行いましょう。このときに製品に過大な配管応力がかからないように注意が必要です。

取り扱い上の注意

保管時の注意点

バルブの取り付け前に梱包を開封したままにしておくと本体にゴミや異物が混入する恐れがあります。取付寸前まで梱包したままにしておき、埃が少なく風通しの良い場所(室温-5~60℃、湿度70%以下)に保管しましょう。

また、バルブを落とす・投げる・倒すなどの行為は破損の原因となるため注意しましょう。

取付時の注意点

取り付け前の清掃

取り付ける前に配管内や配管フランジ面の清掃を行いましょう。取付後に清掃を行うとバルブを傷つけてしまう恐れがあります。

配管フランジ面間の十分な確保

配管フランジにバルブを無理に押し込むとシートがめくれ、作動不良や漏れを引き起こします。配管フランジの面間を広めに確保してバルブを挿入しましょう。

溶接が完了してからバルブを取り付ける

バルブの取り付けは周辺の溶接作業が完了してから行います。また、配管フランジの溶接後は素手で触れる程度まで温度が下がってからバルブを取り付けます。バルブを取り付けてからフランジ溶接を行うと、ゴムシートが損傷する可能性があります。

芯出しを正確に行う

芯出しが正確でないと、外部漏れや弁座リークの原因となります。

バタフライ弁の
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使用の注意点

バルブの絞り運転はしない

バルブの絞り運転は騒音や振動を与えてしまうため、バルブの故障につながります。基本的に遮断運転を行うようにしましょう。

バルブ定格以上の流体を流さない

バルブ定格以上の流体を流すと漏れや破損を引き起こします。

手動式バルブの操作は手で行う

開閉のために二次的な道具を用いるとバルブを損傷するおそれがあります。

バタフライ弁の
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バタフライ弁の故障を防ぐためには

バタフライ弁の故障を防ぐためには、取り扱いや配管方法に気をつけるほか、定期的な点検とメンテナンスも重要です。バタフライ弁の取り扱い説明に従い、正しい使用方法で故障を防ぎましょう。

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