バタフライ弁の中には「四重偏心」タイプの製品があります。ここでは、四重偏心のバタフライ弁とはどういったものなのか、実際の製品事例も含めて紹介します。
偏心 (へんしん)とは、中心から位置がずれている状態のことをいいます。ここでは、四重偏心のバタフライ弁はどのような構造になっていてどういったメリットがあるのかを紹介します。
四重偏心バタフライ弁は、その名の通り偏心が四重になっているバタフライ弁です。
まず、シール位置と弁棒の中心が偏心構造になっています。次に、弁棒の中心が配管の中心線よりも偏心構造であり、円錐シール面の中心軸も配管の中心線と比較して偏心構造なのが特徴です。
これらは三重偏芯弁バタフライ弁でも同様なのですが、四重偏心バタフライ弁の場合はさらに4つ目の偏心としてシール面が楕円錐形状になっているため、真円形シール構造である特徴を持ちます。
三重偏芯弁と比較すると、四重偏心バタフライ弁の方がシール性が高い特徴を持ちます。そのため、より高度なシール性を求めているような場合は、三重偏芯弁よりも四重偏心バタフライ弁の方が向いています。
三重偏芯弁はバルブが閉じた際にごくわずかに流体の漏れが発生してしまうことがありますが、四重偏心バタフライ弁であればほとんど漏れが発生しません。
また、四重偏心構造にすることでバルブ開閉時の摩擦を抑え、なめらかな開閉につなげることも可能です。摩擦が発生しなければその分バタフライ弁の摩耗も小さくすることになるので、寿命が延びるのもメリットといえます。
実際に四重偏心バタフライ弁製品にはどういったものがあるのでしょうか。ここでは、製品の事例を紹介します。
カスタムメイドのバルブソリューションを提供しているQUBLOCK社の事例です。四重偏芯バタフライバルブ「Quattlok」は、耐食性合金と膨張黒鉛の層を交互に積層させたラミネート構造のメタルシートリングを採用した製品です。
これにより、バルブが閉じた際に流体が全く漏れ出さないタイトシャットオフ状態を目指せます。
株式会社栗本鐵工所の製品事例です。超低摩擦弁座であることに加え、低トルク、高流量特性を有すること、幅広い弁座オプションが用意されているなどの特徴を持ちます。
適用流体は水と空気、蒸気の3つです。操作方式は手動式・電動式・エアシリンダー式・油圧式となっており、特殊仕様については問い合わせが必要です。
優れたシール性や制御性を持つものとして三重偏心バタフライ弁がありますが、四重偏心バタフライ弁はそれ以上にシール性・制御性に優れているのが特徴です。コストやメンテナンスの手間も考えながら四重偏心バタフライ弁が向いているのか、または三重偏心バタフライ弁で対応できそうなのかなど検討していくことをおすすめします。
場合によっては二重偏心バタフライ弁で対応できる可能性もあるので、慎重に選択する必要があります。
以下の記事ではバタフライ弁に関してほかにも確認しておきたいことを紹介しているので、こちらもチェックしてみてください。
オーケーエム
画像引用元:株式会社オーケーエム公式サイト
(https://www.okm-net.jp/)
クボタ
画像引用元:株式会社クボタ公式サイト
(https://www.kubota.co.jp/product/valve/index.html)
KITZ(キッツ)
画像引用元:株式会社キッツ公式サイト
(https://www.kitz.co.jp/)
※2022年1月に「バタフライ弁」「バタフライバルブ」「バタ弁」で検索し、該当した上位30社を調査した際の情報を基にしております。「オーケーエム」は創業年数と専門性、「KITZ」は取り扱うバルブの種類、「クボタ」は水道用バタフライ弁の取り扱い数がそれぞれ最も長い・多いため選出しました。