バタフライ弁の故障や事故を防ぐためには、定期的な保守点検が重要です。このページでは、バタフライ弁の保守点検や水道用に使用する際の点検方法などを解説します。
バタフライ弁は年に1~2回は定期点検を必ず行い、正常な状態を保ちましょう。
また、配管後に長期間休止状態になる場合は、1ヵ月に1~2回のバルブ開閉作業を実施してください。さらに運転前に1~2回のバルブ開閉作業を行うこと、突発的な故障の予防にもなります。
バタフライ弁の保守点検実施にあたり、バルブを配管から外す場合は事前に元バルブを閉めます。配管内に残圧力や残流体が残っていないことを確認したうえ、温度が常温であるかどうかもチェックします。毒性や可燃性のある流体が残っている状態で配管を放置するのは危険なので、注意して作業してください。
また、内部に圧力がかかっている状態では、バルブ本体のボルトや固定部品を緩めないようにしましょう。残圧によって機械が作動する、残圧により内容物が噴き出すなどの事故を引き起こす可能性があります。
水道用バルブ類は管路などに設置されていることが多く、故障時には水量や水質に深刻な影響を与える可能性があります。そのため、日常点検や定期点検、突発的な点検を行い保守することが大切です。以下に各点検時の内容や目安となる点検周期を紹介します。
バルブ類の外観を日常的に確認します。
日常的な点検のデータは必ず記録し、異常が認められた際には可能な限りその時点で修繕を行います。
点検機種例としては、仕切弁、ソフトシール仕切弁、バタフライ弁、地下式消火栓、補修弁、空気弁などが挙げられます。1年周期を目安に目視点検を行うと良いでしょう。
バルブの重要度に応じて点検周期を設定しておき、定期的に機能や動作状況を確認します。日常点検で異常が認められたバルブも点検対象です。
また、軽量・小形の空気弁や地下式消火栓は現地での分解点検を実施します。分解点検では部品の劣化や摩耗、腐食などの状態を確認し、補修や部品の取り換え作業も行います。
仕切弁、ソフトシール仕切弁、バタフライ弁、地下式消火栓、補修弁などは5年周期での目視と作動確認、20年周期での分解点検が目安です。また、空気弁は10年周期を目安とした分解点検を行うと良いでしょう。
なお、定期点検において不具合が認められた場合は修繕や取り換えを実施します。定期点検はバルブに関する知識が必要なため、メーカーなどに委託することをおすすめします。
断水作業前や配水調整前、地震や水害、火災などの後には随時点検を行います。
道路下に埋設されている配水管網中のバルブの点検では、以下の点に注意する必要があります。
自動調節弁は大きく分けると弁体・アクチュエータ・付属機器の3つで構成されています。故障やトラブルなく使用し続けるためには、保守点検が重要。目視や簡単な道具を使った日常点検のほか、定期点検や定期修理を行うようにしましょう。なお、定期点検の検査項目と検査周期は自動調節弁の重要度や故障経歴、使用環境などによって決定します。また、日常点検や定期点検の結果は必ず定期修理に反映させましょう。
以下に、簡易点検法を紹介します。
点検部品 | 判定方法 | 処置(損傷あり/なし) | 注意事項 |
---|---|---|---|
ボディ | 目視、肉厚測定 | 補修または交換/再使用 | 必要によりガスケット座加工、接液部の摩耗 |
ボンネット | 目視 | 交換/再使用 | 必要によりガスケット座加工、スタッフィングボックスの内面状態 接液部の摩耗 |
ボトムカバー | 目視 | 交換/再使用 | 必要によりガスケット座加工、接液部の摩耗 |
ガイドプッシング | 目視寸法測定 | 補修または交換/再使用 | 傷の程度により補修可能、片減り、摩耗の有無 |
バルブプラグ | 目視寸法測定 | 補修または交換/再使用 | 傷の程度により補修可能、片減り、摩耗の有無 |
シートリング | 目視寸法測定 | 補修または交換/再使用 | 傷の程度により補修可能、シートリングネジの緩みの有無 内径変形の有無 |
バルブステム | 目視 | 補修または交換/再使用 | 曲がりの有無、傷の程度により補修可能 |
溝付ピン | 目視 | 必ず交換 | 再使用は原則として不可 |
スタッドボルト/ナット | 目視 | 交換/再使用 | ネジ部の腐食の有無 |
グランドボルト/ナット | 目視 | 交換/再使用 | ネジ部の腐食の有無 |
グランドフランジ | 目視 | 交換/再使用 | 腐食の有無 |
グランドフォロワ ランタンリング パッキンリング |
目視 | 交換/再使用 | 腐食の有無 |
グランドパッキン | 目視 | 必ず交換 | - |
ガスケット | 目視 | 必ず交換 | - |
アクチュエータダイヤフラム | 目視 | 交換/再使用(注) | クラックの有無 |
アクチュエータOリング | 目視 | 交換/再使用(注) | シール部からの漏れの有無、グリスの補給 |
アクチュエータステム ガイドブッシング |
目視寸法測定 | 交換/再使用 | 片減り摩耗の有無、Oリングの傷の有無 組込時にOリングの傷の有無 |
付属品 | 目視作動試験 | 補修または交換/再使用 | 性能の再現性 |
アクチュエータスプリング | 目視 寸法測定(径) 錆の有無 亀裂、PT検査 |
交換 腐食、痩せ交換/再使用 除去、再塗装/再使用 交換/再使用 |
再組立時の錆止め塗装のこと 逆作動駆動部は雨水侵入の点検をし、必要により雨水侵入対策 |
(注)…調整弁の重要度や運転頻度、その他の要因と点検基準に合わせて交換する必要あり
情報引用元:【PDF】一般社団法人日本バルブ工業会「バルブ技報 自動調節弁のメンテナンス」(https://j-valve.or.jp/pdf/valve/vm05.pdf)
弁やバルブのトラブルや故障を防ぐためには、メンテナンスの実施が重要です。しかし知識が不足したままメンテナンスを行うと、かえって故障を招いてしまうことも。そのため、弁やバルブの専門知識がある業者に依頼すべきです。
点検・メンテナンスは購入元やレンタルしているメーカーのほか、メンテナンス専門業者などが対応してくれます。より確実な保守管理を行うためにも、メンテナンスはメーカーや専門業者にお任せしましょう。
オーケーエム
画像引用元:株式会社オーケーエム公式サイト
(https://www.okm-net.jp/)
クボタ
画像引用元:株式会社クボタ公式サイト
(https://www.kubota.co.jp/product/valve/index.html)
KITZ(キッツ)
画像引用元:株式会社キッツ公式サイト
(https://www.kitz.co.jp/)
※2022年1月に「バタフライ弁」「バタフライバルブ」「バタ弁」で検索し、該当した上位30社を調査した際の情報を基にしております。「オーケーエム」は創業年数と専門性、「KITZ」は取り扱うバルブの種類、「クボタ」は水道用バタフライ弁の取り扱い数がそれぞれ最も長い・多いため選出しました。