バタフライ弁には、二重偏心で作られているものもあります。今回は二重偏心のバタフライ弁の特徴やメリット、三重偏心のバタフライ弁との違いなどを解説していきます。
二重偏心のバタフライ弁は、ダブルオフセットバタフライバルブとも呼ばれています。流体の流れを制御するための弁の一種で、特に高圧や高温の環境に適しています。
まず、バタフライ弁のディスクが中心軸からずれているため、流体の流れをより効率よく制御できるのが大きなメリットです。二重偏心ではディスクの軸が弁の中心から2つの方向にずれている設計で、流体の流れがよりスムーズで流体抵抗が減少します。
つぎに、二重偏心の設計によって、開閉時のトルクが低減するため、弁の操作が容易に行えるのも特徴。流体の流れに対する抵抗が少ない分、エネルギー効率の向上にもつながるでしょう。
さらに、さまざまな流体や温度条件に適応できることから、広範囲に適用可能な点も特徴でありメリットです。化学工業・石油・ガス・暖房・換気などを含め、さまざまな産業で使用されています。
そして、構造がシンプルで点検やメンテナンスも容易。シール部分が少なく、交換や修理の手間を減らせます。また軽量かつコンパクトなので、スペースに制約がある場所でも設置しやすいでしょう。
二重偏心のバタフライ弁のデメリットは、コストが高い点です。標準的なバタフライ弁と比べると構造が複雑になっており、製造コストが高くなる傾向があります。また高温や高圧の環境での使用には限界があり、極端な高温・高圧の状況では利用できない可能性があります。
二重偏心と三重偏心のバタフライ弁は、いずれも流体の流れを制御することを目的とした弁です。しかし、設計と性能に関しては違いがあります。
・構造
二重偏心はディスクが弁の中心から2つの方向にずれており、1つは通常の偏心、もう1つは回転軸の偏心であるに対して、三重偏心はディスクが更にもう1つの方向にずれています。
・流体抵抗
二重偏心の特徴は、流体がディスクを通過する際に流れがスムーズになり、流体抵抗が減少する点です。対して、三重偏心になると、流れの乱れは更に少なくなり、流体抵抗がより一層少なくなります。三重偏心は、高圧や高温の環境においても性能が発揮されやすいのです。
・用途
二重偏心は、化学・石油・ガスなどを含めてさまざまな分野で使われています。一方、三重偏心なら、高圧で高温な、更に過酷な環境下での使用にも適しています。
三重偏心は、性能の高さとパワフルさを兼ね備えたバタフライ弁です。二重偏心よりも更にワンランク上の性能を備えているバタフライ弁だと理解しておきましょう。そして、特性を理解して用途に合わせて選定する必要があります。
NTGDバルブのダブルオフセットバタフライバルブは、325°Cまでのアプリケーションに使用可能です。50バールの高い圧力に耐えられます。
接続に基づいて、ウェハータイプ・ラグライプ・フランジ付きエンドタイプ・溶接エンドタイプの4種類が用意されています。
参照元:NTGDバルブ公式HP(https://ntgdvalve.com/ja/double-offset-butterfly-valve/)
API609に準拠しており、本体には鋳鋼とステンレス鋼の2種類を用意しています。使用環境に合わせて、本体の材質を選択可能です。シートは、RTFEシート(強化フッ素樹脂)またはメタルシートから選択できるため、より状況にマッチする製品を選べます。
参照元:KITZ公式HP(https://www.kitz.co.jp/product/cp/)
二重偏心のバタフライ弁は「ダブルオフセットバタフライバルブ」とも呼ばれており、高性能バタフライ弁として分類されています。トルク要求が低い・流体抵抗が低減する・流量の調整がしやすい・耐久性が高い・軽量でコンパクト・メンテナンスしやすいなど、さまざまな特徴とメリットがあるバタフライ弁です。適用可能な分野も広く、さまざまな産業で使用できるのも特徴です。更に性能の高い三重偏心との違いも理解したうえで、より用途に適したバタフライ弁を見つけましょう。
以下のページでは、バタフライ弁の基礎知識などをまとめてありますので、ぜひチェックしてみてください。
オーケーエム
画像引用元:株式会社オーケーエム公式サイト
(https://www.okm-net.jp/)
クボタ
画像引用元:株式会社クボタ公式サイト
(https://www.kubota.co.jp/product/valve/index.html)
KITZ(キッツ)
画像引用元:株式会社キッツ公式サイト
(https://www.kitz.co.jp/)
※2022年1月に「バタフライ弁」「バタフライバルブ」「バタ弁」で検索し、該当した上位30社を調査した際の情報を基にしております。「オーケーエム」は創業年数と専門性、「KITZ」は取り扱うバルブの種類、「クボタ」は水道用バタフライ弁の取り扱い数がそれぞれ最も長い・多いため選出しました。