バタフライ弁を取り扱う上で理解しておきたいものに、圧力損失があります。ここでは、バタフライ弁の圧力損失とは何かなど、おさえておきたいポイントを紹介します。
バタフライ弁の圧力損失とはどのような状態のことをいうのでしょうか。確認しておきたい基本から紹介します。
圧力損失とは、流路の一部が絞られた場合などにその箇所よりも下流の圧力が減少する現象のことをいいます。エネルギー損失が起こっている状態と考えるとわかりやすいでしょう。
バタフライ弁の圧力損失が起こると下流側の圧力が低下することに加え、流量、流速の減少にもつながります。
バタフライ弁において圧力損失が起こる原因は、1つだけではありません。
例えば、流体自体の粘性が高いと圧力損失が起こりやすくなります。他にも、摩擦によって配管表面が粗くなればそこを通過する力が必要となり、圧力損失に繋がってしまうケースもあるので、対策を取らなければなりません。
また、渦や乱流が圧力損失を招くこともあります。
バルブにはバタフライ弁以外にもさまざまな種類がありますが、バタフライ弁はその他の種類と比較して全開時の圧力損失を抑えられるのが特徴です。
配管内を流れる流体が受けた圧損を算出するのに使われる値として「圧力損失係数」があるのですが、バタフライ弁の圧力損失係数は0.3です。グローブバルブが1.5であることから、これよりも大幅に小さいことがわかります。
なお、ゲートバルブは0.2、ボールバルブは0.05なので、さらに圧力損失係数が小さいことになります。
ちなみに、制御できる最大流量と最小流量の比を指すレンジアビリティをみてみると、バタフライ弁は10:1です。一方でボールバルブは3:1程度とされています。(※1)
レンジアビリティが高い方が広範囲で流量・圧力を制御できることから、バタフライ弁は制御に適しているといえるでしょう。
バタフライ弁の圧力損失が抑えられる理由はいくつかありますが、例えば構造が非常にシンプルなことも理由の一つです。部品が摩擦などによって劣化すると流体の乱れが発生しやすくなりますが、バタフライ弁はシンプルな構造であり動く部品が少なく、部品の摩擦を抑えられます。
それから、バタフライ弁は円盤状の弁体が回転することで通水・止水を行いますが、この円盤は軽量です。そのため、開閉時に大量のエネルギーを必要としません。動作時に必要とされるエネルギー損失が小さいことも圧力損失を抑えることに繋がっています。
このように、さまざまな理由によってバタフライ弁は圧力損失を抑えることが可能です。
今回紹介した圧力損失が少ないこと以外にも、バタフライ弁には多くの特徴やメリットがあります。制御に適していることもあり、さまざまな場所で使用されています。
流体の制御に活躍するバタフライ弁について、他にも基礎知識をおさえておきましょう。以下では、バタフライ弁に関して確認しておきたいことを紹介しているので、こちらもぜひ参考にしてみてください。
オーケーエム
クボタ
KITZ(キッツ)
※2022年1月に「バタフライ弁」「バタフライバルブ」「バタ弁」で検索し、該当した上位30社を調査した際の情報を基にしております。「オーケーエム」は創業年数と専門性、「KITZ」は取り扱うバルブの種類、「クボタ」は水道用バタフライ弁の取り扱い数がそれぞれ最も長い・多いため選出しました。